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希望

2018-01-10
カテゴリ:リハビリ部門紹介,全て見る
    こんにちは、言語聴覚士の池田です。
    今年もどうぞよろしくお願いいたします。
    
    
    年末年始は皆さま、どのように過ごされたでしょうか。
    私はというと、(Instagramを見てくださっている方はもうおわかりかと思いますが)相変わらずあれこれ実験したり、考え事をしたりしておりました。
    
    
    さて突然ですが、私はこの資格を持って働きながらも、これまで「リハビリってなんだろう」と思う場面がたくさんありました。
    治せるわけでも、薬を処方できるわけでもない。自分の無力さに辟易することもあります。
    
    
    年が明けてからのリハビリでは、今年一年の抱負について話す機会も増えますが、利用者様によってはそれを躊躇うこともあります。
    昨年の秋の終わりころから、嚥下訓練の依頼で開始したこの方についても同じだと思っていました。
    
    ADLは独歩自立、問題は重度の嚥下障害のみ。嗄声はあっても大きな支障はなく、声量も充分でした。胃瘻での栄養管理が奏功した、ご本人とご家族にとっては複雑な成功例と言えます。
    
    入院中の訓練内容は、当然ながら昼の数口の直接訓練だけ。私が初めてお会いした日には、「どうせ何を言ったって何も食べられるわけじゃないんでしょ?」と何度も仰り、厚い壁がありました。
    
    
    ご自宅でのリハビリは週に、PTが1日、STが2日。
    こつこつ練習を工夫し、自主トレーニングを重ねて年が明け、1日目のリハビリで、まるで機能低下がないことに驚きました。聞けば、癖のように自主トレーニングを続けていたと。それも、練習通りの正しい姿勢で、1日に何度も。
    「いける!」という、ほぼ確信に近いものをもって、私自身の高揚を抑えながら、次のリハビリの時に初めてレトルトパウチの肉じゃがを用意していただきました。
    
    半信半疑のままのご本人に、介助でひと口、またひと口。重ねてきていただいた練習の通り、ベッドアップ30°で丁寧に進めていきながら、ご本人の表情がみるみる変わっていったのです。
    数口で休憩を挟んだ時、立ち上がって「こんなに美味しい肉じゃがは初めてだ!今まで食べた中で一番美味しい!」と、高揚を抑えきれないまま仰いました。そして続けました。
 
    「病院でもずっと、なんでこんなことしなきゃいけないんだろうと思いながらリハビリしていたよ。退院してからも家でもやらなきゃいけないし。でも今、やっと意味があったんだってわかった。どんな単調な練習も、嫌々でも、ずっと続けていてよかったって思った。この日のためだったんだ。
    こんなに美味しいって思っちゃったら、次は何を食べようかなって楽しみができちゃうね。何にしよう、あれも食べられるんじゃないか、なんて希望がもてるね!」
    
    
    すとん、となにか落ちたように、理解できた気がしました。希望か、そうだ。これが私たちの役割だ。
    
    
    
    満面の笑みで何度も喜びをあらわしているその方のお宅を後にし、キャノピーを走らせながら何度も何度もこの場面を反芻しました。
    
    相変わらずなんの力もありませんが、素晴らしい役割じゃないですか。
    新年早々、素晴らしい気付きをもってスタートできました。引き続き私も皆さまと一緒に、がんばらせてください。
    
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